出羽海部屋の先代親方(元関脇鷲羽山)石田佳員さんの厳しくも愛情ある解説。千秋楽翌日に更新します。
〈元関脇鷲羽山・石田佳員さん語る〉 場所前の年明け3日、出羽海一門の連合初稽古を訪ねた。関取衆の申し合い稽古で、獅司と胸を合わせていた御嶽海は左手の小指を負傷し、苦悶(くもん)の表情を浮かべて稽古場から出ていった。そこから初日に何とか間に合わせたという状況だったとみる。 自分も御嶽海と同じ30…
御嶽海は調子が上がらず、自分らしい相撲が取れなかった。数少ない勝った相撲にしても、主導権を握ったわけではなく、勝ちを拾った内容が目立った。仕切りの段階から腰から下に力強さが感じられず、軽かった。 最後に優勝した2022年1月の初場所から2年半余りで、ここまで力が落ちてしまうのか。無理が利く26~…
今場所の御嶽海は、久しぶりに初日から5連勝を飾った。いつもと違い、不利な体勢になっても諦めず、淡泊な相撲を取らなかったからファンの気持ちを引きつけた。 この時点で、4度目の優勝がちらついた人も少なくなかったのではないか。自分のところにも、部屋の後援者から「実現したらお祝いの会を開くからぜひ来てよ」と連絡があったくらいだ。 御嶽海の魅力は、前に出て攻める相撲にある。それがここ1、2年見られなくなったから…
御嶽海が2場所ぶりに勝ち越した。喉輪で相手を突き起こしたり、突き放したりして流れを握り、中盤戦は足も良く動いていた。同じ大関経験者の高安や正代にも意地を見せて勝った。御嶽海らしさがよみがえったかのようだった。 だからこそ、終盤戦の元気のなさが残念だった。勝ち越しに王手をかけて気が緩んだのか、自分…
御嶽海は学生相撲のエリートとして幕下付け出しで角界に入ってきて、素質とセンス、勢いを生かしてとんとん拍子で出世した。当時から稽古量が少ないと指摘する人は多かったけれど、本人は勝っているから、それでいいと思ったはず。そのまま、長い三役時代を経て大関昇進も果たした。 でも、右肩のけがを発端に大関から陥落し、5場所も勝ち越しから遠ざかる状況を見れば、稽古量の少なさが出ていると言わざるを得ない。稽古で培わなければならなかった地力の…
大関に復帰できず負け越した御嶽海は、立ち直るのが厳しいと思ってしまうような雰囲気を醸し出していた。形勢不利になったら力を抜き、諦めたような相撲が多かった。5月の夏場所以降、右肩の故障以上に、かつての気迫が見られないことを心配している。 学生時代から大関に昇進するまで、おおむね順調に来た。容易に越えられない壁に当たった時、どう向き合って解決していけばいいのか、経験がないのではないか。本人は稽古しているつもりでも、角界関係者が口をそろえて…
新大関の場所で2桁勝った御嶽海は、まずは及第点のスタートを切ったと言える。ただ、大関陣にとって、10勝は最低限の勝ち星。千秋楽まで優勝争いに絡んでようやく責任を果たしたと見られる。それが…
表彰式を終えた御嶽海が私の自宅近くにある出羽海部屋に戻るころを見計らい、祝福に行った。コロナ禍で部屋の身内しか集まれないので、師匠と部屋付きの親方、おかみ、若い衆らだけでタイ持ちの写真に納まった。本人に「よくやった」と言ったら、丁重に頭を下げていた。3度目の優勝と大関昇進を確実にした15日間をたたえたい。 仮に、今場所後の昇進が見送られたとしても…