沈黙を破る。「Breaking Silence」。このフレーズに魅了されたのは40年以上前。わたしたちの周囲には、時にわたしたち自身の内側にも、沈黙という分厚い壁があり、表現する言葉を奪っていた。 そんな時、海の向こうから、女性たちの背中を押してくれるような確かな言葉が波のように押し寄せてきた。…
1年前のきょう、高市早苗さん(65)は日本初の女性首相になった。当時小欄に「女性という冠を首相につけるのはここまでに」と書いた。問われるのは行政府の長としての手腕。有権者も「女性ならでは」という色眼鏡を外さなくてはと◆だから女性天皇の道を閉ざす皇室典範の改定も、選択的夫婦別姓を認めず旧姓の通称使用に…
飲食料品の消費税減税関連法案が衆院で審議入りした。所得連動型の現金給付制度導入も盛り込まれ、高市早苗首相は「支援の十分性と迅速性の観点から最善の方法だ」と強調した。 そう判断するにはあまりに材料が乏しい。政府は財源や給付の詳細を明示していない。重要な論点を曖昧にして審議を求めるのは国会にも国民に…
地域に生きる人々が力を合わせ、世代を問わず楽しむ祭りで、今月、痛ましいニュースが続いた。 大阪府泉佐野市、泉大津市では、勢いよく引っぱるだんじり(山車)が横転し、乗っていた男性2人が亡くなった。愛媛県西条市では、山車の一種、太鼓台の下敷きになり、担ぎ手として参加していた副市長の男性が亡くなった。…
私たちはその時点での基幹産業をモデルにして現実を表象するという仮説の続き。農業が基幹産業だった時代に私たちは人間の営みを農耕に喩(たと)えていた。種子を蒔(ま)き、水をやると、自然のはからいによって植物は育つ。収穫期を迎えたら、それを「天からの恵み」としてありがたく頂く。そういうモデルで人間たちは…
あれは何だったのかと、すっきりしない人が多いだろう。先週金曜の昼すぎ、信州でも流れた緊急地震速報とその取り消しだ。 気象庁はシステムエラーと説明するが、分からないことがなお多い。原因をしっかりと究明し、市民と共有しながら改善していくことが、信頼に足る速報体制づくりに欠かせない。 北海道から東海…
失政のつけをウクライナに押しつけ、侵略国を利する合意だ。 トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談である。ロシアが米国や国際市場に軽油を供給する内容で、価格の低下につながるとしている。 米国はロシアのウクライナ侵攻に対する制裁として、ロシア産原油などの輸入を禁止していた。米財務省は今…
そろそろ目を覚ましたらどうだい―。諭すようにそう歌い始めるのは1970年代の米ロックバンドを代表するイーグルスのバラード「デスペラード=Desperado」。邦題は「ならず者」だ。西部開拓時代の無法者を指す古い言葉◆元々は絶望を意味する名詞から転じたという。望みを失って心を閉ざした、もう若くない無頼…
すでにお伝えしたように、9月中旬、信濃の3カ所で講演した。この間、昼はさまざまな場所で少しずつ違う蕎麦(そば)を食べることができて幸運だった。私は蕎麦が大好きなのだ。 松本に泊まった。朝は松本城まで往復し、夜は友人たちとワインを傾けた。次の日は信濃毎日新聞松本本社ビル「信毎メディアガーデン」の中…
もう日本では店を続けられない-。政府の施策によって、外国人が営む飲食店や商店が 地域から次々と姿を消していく恐れが現実になり始めている。 「経営・管理」の在留資格を持つ外国人の出国が今年の上半期、前年同期の4倍近くに増えた。資格の要件が昨年10月から厳格化されたのに伴い、見切りをつけて店を畳み、…
アビジート・ディプケさんは10日、首都デリーの空港に着いた機内でインド警察に拘束された。架空の政党「ゴキブリ人民党(CJP)」の創設者だ。有権者名簿から1億人以上が削除されたことに抗議するデモに向かうところだった◆CJPの結成は、失業中の若者をゴキブリに例えた最高裁長官の発言に端を発する。英語のコッ…
法律で企業に義務づけられている障害者の雇用を代行するビジネスを巡り、厚生労働省 が規制の導入を検討している。 事業を開始する際の 届け出の義務化や、不適切な事業者への指導や勧告が柱だ。2027年通常国会に関連法改定案の提出を目指している。 代行ビジネスは近年急増し、就業者数は25年10月時点で…
若者のエネルギーが政治を動かしている。フランスでは高校生らが教育環境の改善を求めて立ち上がり、政府は教員増員などの対応を迫られた。若年層の人口比率が高い途上国、とりわけ南アジアでは、その勢いがさらに顕著だ。政策変更にとどまらず、既存の政治体制を揺るがす動きが相次いでいる。 スリランカでは2022…
重大な事件や不祥事を起こした人物や企業による会見や裁判での発言から、インターネット上での失言や不適切発言に至るまで、謝罪の適切さを巡る批判が目立つ。SNS(交流サイト)では、潔く非を認めて謝るように要求する声や、謝罪が謝罪になっていないと糾弾する声、謝罪だけでは済まないと辞職や社会的制裁を求める声…
米国ジョージア州のハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港は「世界一忙しい空港」と呼ばれる。年間の乗降客は1億人を超え、過去30年近く世界の空港でトップを走る。空港名は2人の元アトランタ市長に由来している◆米国では功績をたたえて政治家の名前を冠した空港が珍しくない。7月にはフロリダ州の空港に…