【特報】ガソリンの価格調整か 長野市内のスタンド間、電話連絡の音声データ入手 独禁法抵触恐れ、組合側は関与否定

一斉に値上げし、価格がそろったセルフ式店舗の価格表示板=いずれも1月17日、長野市

 県石油商業組合・県石油協同組合(長野市)に加盟する長野市内の複数系列のガソリンスタンド(GS)が店頭表示価格をそろえるため、値上げ幅や値下げ幅を事前調整している疑いがあることが4日、分かった。信濃毎日新聞はGS間の電話連絡の音声データを入手。1月17日の値上げと、2月3日の値下げを指示する内容だった。専門家によると、値崩れを防ごうと事業者同士や業界団体内で連絡を取り合い価格を決める「不当な取引制限(カルテル)」を禁じた独占禁止法に抵触する可能性がある。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は、昨年8月13日以降22週連続で都道府県別の最高値だった。最新の1月27日時点は193円70銭。高知県(193円80銭)に次ぐ2番目で、高止まっている。

 GS関係者によると、組合の地区役員を務める別のGS関係者から1月15日に「価格は17日から全油種でプラス3円です」と電話連絡があった。音声データにも同様のやりとりがあった。電話を受けたGSは17日、レギュラーやハイオクを3円値上げした。

 本紙は電話連絡があった直後の16、17日、組合加盟の長野市内のGS約40カ所を抽出して店頭表示価格を調査。17日のレギュラー価格(複数表示の場合は高いもの)は、9割超のGSで前日より3円値上げされていた。セルフ式店舗では191円から194円に、有人のフルサービス店舗では193円から196円に変更した例が大半だった。

 17日は、価格抑制策の国補助金が前日に5円縮小され、市内のGSが一斉に値上げしたタイミングと一致する。

 また1月30、31日には、2月3日から「3円値下げ」するとの電話連絡があり、多くの組合加盟GSが店頭表示価格を変更した。この他、昨年12月に国補助金が縮小された際も、5円の値上げを伝える連絡があったという。

 複数のGS関係者は取材に、店頭表示価格の変更時には毎回、他社の関係者から連絡があると証言。「GS側(自分たちの店舗)で価格は決められない」とした。複数の関係者は、価格調整が「組合の指示」だと認識していると証言した。価格は組合関係者がチェックしている―とも説明。指示された水準より安く表示した場合、「改善」を求められることがあるとした。

 組合員の経営指導などを担う県石油商業組合と、組合員による共同購入などを目的とする県石油協同組合は、事務所や役員、メンバーが同じ。電話をかける関係者は、組合の地区組織で役員を務めているという。

 組合の高見沢秀茂理事長(高見沢社長)は4日の取材に、組合としての関与を否定した上で「価格調整をしている業者があるとすれば遺憾だ」と述べた。平林一修(かずなお)専務理事は「組合は関知していないが、事実であれば大きな問題で指導する」とした。

 独禁法は、事業者同士のカルテルを禁止。さらに、事業者団体が会員間の競争を実質的に制限する行為も禁じている。東北大大学院の伊永大輔教授(独禁法)は事前調整は「独禁法の禁止行為に該当する可能性が高い」とする。

 独禁法を担当する公正取引委員会は「個別の事案については答えられない」とした。

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[不当な取引制限] 本来は競争関係にある複数の企業間で連絡を取り合い、商品の価格や生産数量などを共同して決める行為をカルテルという。価格カルテルの場合、自由競争が制限され、消費者は不当に高い価格の商品やサービスを購入させられることになる。カルテルは日本の独占禁止法や米国の反トラスト法などで規制されている。

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【電話連絡のやりとりを示した図はこちらの記事から】

■ガソリン高の要因か、長野市内のスタンド価格調整疑い「長年常態化」 「独自値下げで通報」の証言も

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2025020400966

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