「対応しないとやばい。自動車登場のような転換点」 東御市出身、GMO・熊谷正寿代表が語るAIの現在地【動画付き】

GMOインターネットグループの熊谷正寿代表

 東京信州経済人の会で18日に講演したGMOインターネットグループの熊谷正寿代表(62)=東御市出身=は、2026年が人工知能(AI)による「ヒューマノイド(人型ロボット)元年」として人類史上に刻まれるとの認識を示した上で、AIを学び活用する意義を訴えた。

 ■フィジカルAIは革命

 ホモサピエンスという意味では人類は30万年、文明という意味では人類は5千年。歴史年表の中で2026年は必ずや、太字、赤文字、注釈付きで、今後千年単位で語られ続ける節目の年だと感じている。AIを脳みそにしたロボティクス、フィジカルAIの開く未来は、世界80億人の生活をちょっとずつ毎日変えている。

 これは、昇る朝日が止められないように、この数年間で人類に大きなインパクトを与え、大変な革命が起こるのは揺るがない。かつて自動車が世の中に登場した時に、道路が変わり、信号が変わり、建物が変わり、エネルギーが変わった。同じように、このロボティクスとAIは文明的な転換点。ロボットはただのAIじゃない。

 かつての産業革命は平均すると55年。日本のインターネット革命はウィンドウズ95の1995年が夜明けで、まさに今30年で折り返し地点。24時間の時計に例えると、今ランチが終わったところ。これからが本番。一番おいしいスイーツ、ディナーはまだこれからで、それはAIとロボティクスが主役であると確信した。我々のテック業界ははやり言葉がすごく多い業界で、何が本物だか分からないが、AIロボティクスは本物だ。これ対応しないと、やばい。

 ■この1カ月の発展は垂直

 私はインターネット革命の95年に事業を開始しているので、一番古い一人だ。

 2022年11月30日に米オープンAIのサム・アルトマン氏が「ChatGPT」をリリースした。毎日この業界にいるから感じるが、その日から成長角度が急に変わった。3年半たったが、この1カ月、2カ月は、角度が斜めじゃない、垂直だ。一晩寝ると、翌日に何が起こるかわかんない。もう怖いくらいだ。

 なぜか。AIが自らを開発しているからだ。コーディングと言うが、プログラムを書いている。今は人間はプログラムを書いてない。プログラムはAIが書いている。だからスピードが異様に速い。

 それはそうだ。私たちは飲んだり食ったりサボったりする。労働基準法もあるから8時間働く。だけど、AIは電気を食わせりゃ24時間。私たちはコピーできないがロボットはコピー無限大。この革命のスピードはとんでもない。ありとあらゆる発明がAIによって毎日行われている。

 皆さん、今まで生きてきて良かった。なぜならば、生命科学の分野までAIは人知を超えた発明を繰り返す。彼らは毎日ノーベル賞。がんが治るのもそう遠い未来じゃない。老化ですらコントローラブルな時代に突入しようとしている。僕が保証する。

 ■猿とヒト、格差を拡大

 私たちの広げてきたITの30年間、これは情報格差を縮めるサービスの提供の戦いだった。昔は調べるのにバスに乗って図書館に行って人に聞いてと、時間とお金がかかったが、今はスマホの中ですべて分かる時代だ。ところがAIは真逆で、格差を広げている。

 なぜなら、AIは言語能力の高い人が丁寧にプロンプト(指示文)を打てば、ものすごく丁寧な回答をよこす。今まで数十年、理系の時代が続いてきたが、これからは文系の時代になると思っている。

 今年はヒューマノイド元年。ヒューマノイドは24時間動く。シンプルに世の中、人のために全て作られている。電子レンジから洗濯機から全て人のために設計されている。だから人型ロボットが普及するのは当然。

 人型ロボットは必ず自動車産業を超える産業に発展する。現在全産業の中で自動車産業は三本指に入る規模感。だけど、自動車産業は今後、ヒューマノイドに抑えられる。今世界のヒューマノイドの生産は西側か中国で生産され、部品の半分は日本製。いずれ日本のものづくりは、ヒューマノイドに関わっていただきたいと心から願っている。

 世界ではAI解雇という言葉がはやっている。米西海岸、シリコンバレーで人減らしがすごい。(伝統校の)アイビーリーグを出ても勤め口がない。1年間就活して、勤め口がなくファストフードに勤めている、とニューヨーク・タイムズの1面記事にあった。

 私たちも3年半前から、新卒求人を絞っている。

 ■GMOはリスキリング

 私どもはリスキリング(職業能力再開発)をして、グループの8300人から絶対にAI解雇を出したくない。みんな、勉強してくれと言っている。有料AIを使うための資金を1人1万円。8千人なので年間10億円。みんなAI人材になってくれということ。AIしか使っちゃいけない日というのを決めて、AI以外を使ったらペナルティーという日も決めている。

 ダーウィンの言葉で、強いものが生き残ったわけではない。賢いものが生き残ったわけではない。変化に対応した者だけが生き残った。

 僕はこの仕事を30年やって、上場企業12社ができた。ニューイヤー駅伝で勝った。いいことがいっぱいあるが、満足感は今は5%しかない。私の心の中の8割、9割は危機感しかない。今AI対応をしなかったら、我々がなくなるっていう危機感しかない。AIはチャンスでもある。活用してビジネス広げる。それは残りの10%ぐらいだ。

 ■展開は「秒進分歩」

 AI対応って何か。実は謙虚さと学ぶ姿勢だ。AIは「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」だ。僕はこの土日も8割ぐらいAIの勉強をしている。

 この10年で一番良かったことの一つは、3大AIの一つ「Claude Code(クロード コード)」を使えるようになったことだ。頭に浮かんだアイデアを今すぐ誰にも頼らず自分一人で形にできる。年収3千万円のエンジニアが24時間、自分の脇に付いている状態だ。

 20代だったら、おそらくこのClaude Codeをフル活用して、1人で開発からサポートから全部やって、多分革命を起こすだろうなと思った。

 AIをどう使ったらいいのか。作業は全部AI。どこで差異化したらいいのか。シンプルに、自分らしさ、その会社らしさ、サービスらしさ。「らしさ」は人間でやらないとだめ。AIは「らしさ」の演出まではしてくれない。

 大好きな言葉を紹介する。「努力なくして、運は摑(つか)めず、感謝無くして、運は続かず。運と努力と感謝の積み重ね」。実力だと思った瞬間に、全ての運は終わる。運は努力と感謝の積み重ねだ。62歳になった今本気で思っている。

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