〈社説〉議員定数削減案 女性の参画さらに遠のく

信濃毎日新聞デジタル

 日本の国会議員の構成は、男性に大きく偏っている。いびつさをさらに広げるのか。

 先の特別国会で継続審議になった衆院議員定数削減法案だ。飲食料品の消費税減税関連法案とともに今国会の焦点とされ、与党が成立を目指している。

 衆院議長の下の与野党協議会で選挙制度改革と定数削減を検討し、法施行から1年以内に結論が出なければ、比例代表の定数を自動的に45減らす内容だ。

 衆院選の女性当選者は比例代表での選出が多い。小選挙区の候補者は、男性が多い現職が優先される傾向にあるためだろう。2月の衆院選も女性当選者68人のうち40人が比例で選ばれた。

 この状況で比例のみを削減すれば、全体の2割にも満たない女性議員はさらに減りかねない。20代当選者6人中5人も比例選出だ。比例削減は少数政党の議席減にもつながると指摘されている。多様な民意の反映が一層遠のく。

 女性が初めて衆院選に立候補してから80年。国会の男女均等はいまだに課題だ。2月の衆院選の女性当選者は全体のわずか15%。参院は30%。国際的に見ても低い水準にとどまっている。

 定数削減は、昨年10月の自民党と日本維新の会の連立政権合意に盛り込まれた。「身を切る改革」なのだという。

 一方、2月の衆院選で候補者の女性比率は、自民が主要政党の中で最低の13%。維新15%だった。

 2018年に衆参両院ともに全会一致で成立した「政治分野の男女共同参画推進法」は、政党に候補者数をできるだけ男女均等にするよう求めている。女性の参画を進める意識が薄いのではないか。

 そもそも日本の国会議員数は先進諸国よりも少ない。定数削減よりも、女性の参画に向けた制度づくりを優先すべきだ。

 候補者や議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」導入、小選挙区で300万円の供託金の扱いなど議論すべき課題は多い。

 与野党の衆院選挙制度協議会は、選挙制度の抜本改革に向けて第三者機関を設置すると決めた。協議を進める上では、男女均等を促す視点が欠かせない。弊害が多い現行の小選挙区比例代表並立制に代わる制度も、検討していく必要がある。

 民主主義の基盤である制度の抜本改革に時間をかけるのは当然だ。検討が始まる前に期限を付け、根拠なく議席削減を前提にするのは民主主義の否定である。法案は撤回すべきだ。

長野県の求人情報
スポンサー 求人ボックス