10億円の握手と少しのウソ 父から初めて手紙をもらった30年後に

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認知症になった父(右)と握手を交わした=坂﨑雄一郎さん提供

【朝日新聞のデジタル版連載「いつも、どこかで」 2026年5月24日配信】

 せっかく入った筑波大付属駒場中だったが、授業はサボってばかりだった。

 中学2年にしてマージャンの面白さを知った坂﨑雄一郎さん(55)。

 牌(はい)の置き方、目線、手の震え。

 そうしたものから、その人の本性が見え、胆力が試されるところに魅力を感じた。

 入学当初は真ん中くらいだった成績は、下降の一途をたどっていった。

 高校3年のときに受けた共通1次試験。

 まったく解けず、2日目の昼に「もうダメだ」と会場を抜け出した。

 公衆電話から自宅に電話し、母に「お願いだから浪人させてほしい」と伝えると、あっさり受け入れてくれた。

 どうやら、裏で父から「あいつに細かいことは言うな。人に迷惑をかけないかぎり自由にさせろ」と言われていたようだ。

 

■20歳の誕生日、父からもらった手紙

 浪人を経て進んだのは、北海道大の経済学部。

 東京より西は暑いから嫌だ。東北も旅行で行ったことがある……。それなら、一度も行ったことがない北海道にしよう!

 そんな単純な理由で選んだが、そこに根を張り、「第二の故郷」になるとは思いもしなかった。

 大学1年の時に迎えた20歳の誕生日。東京の父から手紙が送られてきた。

 朝から晩まで仕事ばかりで家にいなかった父とは、まともな会話を交わしたことがない。

 もちろん、手紙なんてもらったこともない。

 そこに書かれていた内容は

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