長野県知事選、立候補予定者の公約は 七つの分野で比較

任期満了に伴う23日告示、8月9日投開票の知事選は、現職で4期目の阿部守一氏(65)と、新人で共産党県委員会副委員長の武田良介氏(46)の無所属2人が争う構図となる見通しだ。17日間にわたる選挙戦では、4期16年の現県政の継続か、転換かが問われることになる。
人口減少や物価高騰で社会の状況が大きく変わる中、2人はそれぞれ暮らしや産業への支援、国や市町村、県政運営に向き合う姿勢などを掲げている。長野県の将来像をどう描き、どのような政策で実現させるのか―。2人が発表した公約を七つの分野ごとにまとめた。(上から立候補表明順)
阿部守一氏 65歳
キャッチフレーズ:「信州から、日本の未来をひらく。」

(あべ・しゅいち)1960年東京都生まれ。東京大法学部卒業後、自治省(現総務省)に入省し、山口、岩手、神奈川、愛媛の各県で勤務。2001年1月に長野県職員となり、同年10月から04年7月まで副知事を務めた。総務省を退職後、07年4月から09年10月まで横浜市副市長。内閣府行政刷新会議事務局次長を経て、10年長野県知事選で初当選した。知事4期目の25年9月、長野県知事として初めて全国知事会長に就任。人口減少対策、ジェンダー平等の推進、国・地方の役割分担の改革、地方自治・民主主義のアップデートを重点テーマに掲げる。会長任期は27年9月まで。小諸市塩野(宿舎は長野市県町)。
武田良介氏 46歳
キャッチフレーズ:「あなたとつくる 新しい県政」

(たけだ・りょうすけ)1979年中野市生まれ。信州大教育学部時代に日本民主青年同盟(民青)の活動に参加したのを機に99年、共産党に入党した。大学卒業後は民青同盟県委員会の専従職員となり、2004年に県委員会委員長に就任。16年参院選に共産党から比例代表で立候補して初当選し、1期6年務めた。参院議員時代は、東北信地方を中心に甚大な被害をもたらした19年10月の台風19号災害の被災住民の声を受け、千曲川の堤防強化を国に要望。柏崎刈羽原発の再稼働を巡る東京電力の不正を国会で追及したほか、リニア中央新幹線のトンネル工事で発生する残土の処理問題などに取り組んだ。長野市三輪。
暮らし・産業について
阿部氏
▼郵便局、農協などと連携し買い物や生活サービスへのアクセスを確保▼関係人口などを増やし県民と「300万人コミュニティ」を形成▼AI(人工知能)活用で産業構造を転換▼企業の投資を促す補助金、融資制度を検討▼伴走支援を強化し「売上高10億円、100億円」企業を増やす
武田氏
▼市町村と連携し、全世帯の水道基本料金を2027年3月まで無償化▼中小企業による賃上げを補助金で支援し「最低賃金1700円以上」の実現を目指す▼市町村の物価高対策への支援を強化▼石油由来の物資が逼迫(ひっぱく)する医療や建設、農業関係事業者を財政支援
医療・福祉について
阿部氏
▼地域医療構想実現に向け医療機関の役割分担を推進▼医療・福祉人材の確保・育成と処遇改善▼在宅医療と在宅介護の連携を強化し切れ目ないサービスを提供▼デジタル技術活用で質の高い地域医療・福祉を実現▼障害者ら困難や制約を抱える人が働きやすい「ユニバーサル就労」の普及
武田氏
▼地域医療構想の検討では医療機関の統廃合や集約を安易に進めず、地域住民や患者の声を尊重して対応▼国民健康保険料(税)は市町村と連携し、引き下げを目指す▼県立医療機関の職員の処遇を都市部以上に向上させ、なり手を確保▼医療・介護施設の1ベッド当たりの支援金を拡充
教育・子育てについて
阿部氏
▼高等専門学校の設置検討▼学校運営への住民、保護者、子どもの参画推進▼2027年度までに県立特別支援学校体育館の空調整備完了▼29年度までに県立高のトイレ洋式化▼保育料負担軽減の拡充検討▼女性、若者、子育て世代が暮らしやすいモデル地域を市町村と連携して指定
武田氏
▼18歳以下の子どもの医療費は500円の窓口負担もなくす「完全無償化」を県の支援で実現▼小中学校の給食費無償化を県の支援で実現▼特別支援学校の老朽化を改善▼学校トイレの洋式化▼小中学校・高校の少人数学級を推進▼給付型奨学金を拡充し、県立学校の入学金を引き下げる
農林業・観光・環境について
阿部氏
▼スマート農林業の推進と企業などの参画促進▼果樹、発酵食品などのブランド化と輸出拡大▼県産材の利用拡大や高付加価値化▼宿泊税も活用して滞在型観光地をつくり、観光客の移動を確保▼30年の温室効果ガスを10年比で6割削減を目指す▼気候変動による農産物の高温障害対応強化
武田氏
▼農産物の価格保障と農家の所得補償の実現▼中山間地の農業への支援拡充▼小規模・家族経営の農業への支援を拡充し、大規模農業重視の政策を転換▼新規就農者の支援策を強化▼森林づくり県民税(森林税)の導入経過の検証と必要性の再検討▼宿泊税の使途透明化と必要性の検討
防災・交通・インフラについて
阿部氏
▼地域防災力の向上やDX推進で、災害関連死と逃げ遅れ「ゼロ」を目指す▼公共交通の維持・再構築▼自動運転やデマンド交通など地域の新たな移動手段の導入を支援▼県営松本空港の機能強化と、沖縄県、海外との定期便就航を推進▼中部横断道、中部縦貫道、三遠南信道の整備推進
武田氏
▼リニア中央新幹線の関連工事は一時停止し、通勤・通学、買い物で使う公共交通の維持・拡充を優先する▼災害時の避難や救援にジェンダー視点を導入▼他国からのミサイル飛来などを前提に県民の危機感をあおる国民保護訓練は行わない▼米軍機による低空飛行訓練の中止を求める
国・市町村への姿勢
阿部氏
▼国・都道府県・市町村の役割分担の抜本的な見直し▼人口減少時代に対応した交通制度や公的支援の大胆な見直しを国に求める▼「東京一極集中」是正に向け、税の偏在解消、政府機関・大学の地方分散を国に働きかける▼効果的な市町村支援、連携強化で行政を最適化
武田氏
▼憲法9条を守り、改憲を進めようとする自民党政権に反対を表明する▼防衛費増額や殺傷能力のある武器輸出解禁など戦争できる国づくりに対して反対を表明する▼地方交付税など地方の権限で使える財源の拡充を求める▼消費税の減税を求める▼原発再稼働に反対する
県政・財政運営について
阿部氏
▼「人口減少対策本部(仮称)」を設置し、人口減に横断的に対応▼県組織の風土改革を進め、働きやすく成果重視の組織に進化▼現場への権限移譲で自律的な県組織に▼県業務の集約化・広域化を進め、職員の専門性向上を図る▼将来世代に過度な負担を残さない財政運営
武田氏
▼憲法を守り、平和で人権を尊重した県政運営▼女性幹部の登用促進▼会計年度任用職員の正規職員化▼既存の県事業を見直し、財源を捻出▼物価高対策の国交付金など国財源の有効活用▼県の政策決定過程の透明化と情報公開の徹底▼政策決定過程で県民の意見を尊重する







