五穀の実らぬ里やある―。長野県歌「信濃の国」の一節です。しかし歌詞にある「民のかせぎ(生業)」の一つとして、これからも信州の大地に根差しながら、「稼ぐ力」を強めていけるか。農業の今を見つめます。
県内のスーパーなどに並び始めた2026年産の県産コシヒカリの9月下旬時点の平均店頭価格は5キロ3502円で、25年産の前年同時期4610円を1108円(24・0%)下回ったことが9日、信濃毎日新聞の調査で分かった。「令和の米騒動」で仕入れ値が高騰していた25年産に比べ、大幅に低下した26年産の仕入…
全農県本部の2026年産米の概算金が25日、一般的な産地のコシヒカリで前年比4割減の1万6730円と決まった。農業資材や燃料などの生産コストの上昇に直面する県内のコメ農家らは、乱高下する状況にため息を漏らしつつ、安定して営農を続けられる環境づくりを訴えた。 「中東情勢の影響で資材価格が上がってお…
全農県本部(長野市)は25日、2026年産米の集出荷時に県内各農協に仮払いする概算金(玄米60キロ当たり、紙袋代含む)について、一般的な産地(A地区)のコシヒカリで前年比1万1510円減の1万6730円と決めた。記録が確認できる1989年以降の最高額だった前年の2万8240円から急落し、40・8%…
7月中旬、県野菜花き試験場(塩尻市)の試験用農場に独特な構造のビニールハウスが建っていた。屋根に傾斜があり、側面にビニールが張られていない。内部ではアスパラガスが青々と育っている。 「ハウスの換気性能を高める造りです」と藤永真史栽培部長。従来のハウスは保温を重視して設計されており、夏は太陽で暖め…
県内が厳しい暑さに見舞われた7月下旬、乳牛約270頭を飼育する三村牧場(松本市)の三村誠一社長(64)は牛舎を回って牛の様子を確認していた。牛舎内の至る所に送風機が設置され、牛に風を送っている。「牛は寒さに強いが暑さには弱い」と三村社長。猛暑で牛の食欲や体力が落ちると、乳量の減少や乳脂肪分の低下に…
南佐久郡小海町の親沢地区に広がる畑で7月中旬、長谷川達也さん(31)がワイン用ブドウの枝を整える作業に当たっていた。標高約1150メートルの山あい。白菜など高原野菜の産地として知られるこの地域で、ワイン産業の創出を目指す町ぐるみのプロジェクトが進む。 横浜市出身の長谷川さんは知人の誘いを受け、町…
県内農業に気候変動の影響が広がっている。高原野菜の産地では、平均気温の上昇などで品目の切り替えを余儀なくされる農家が少なくない。その一方、栽培に適するようになった新たな品目の特産化を目指す動きも出ている。厳しさを増す猛暑をどう乗り切るかに生産者は頭を悩ませ、害虫の大量発生や生息域拡大への危機感も高まる。環境の変化に対応しようと試行錯誤する農家や、新たな品種や生産技術の開発に力を入れる研究機関など、気候変動に向き合う現場の取り組みを追う。
県は23日、レタス収穫機の実演会を県野菜花き試験場(塩尻市)のほ場で開いた。農業機械メーカーのデリカ(松本市)が国内企業で初めて実用化したという収穫機は、人力の最大10倍のスピードでレタスの刈り取りが可能。人手不足やコスト高に悩む農家ら約60人に実用性をアピールした。 収穫機はデリカと同試験場な…
信州大農学部(上伊那郡南箕輪村)は10月、ドローンや自動運転技術を使った「スマート農業」の担い手を育成する講座を開講する。同学部や帯広畜産大(北海道帯広市)の教員らが講師を務め、人手不足対策や生産性の向上などにつながるスマート農業の普及を後押しする。農家や企業関係者、行政職員ら社会人の受講を募って…
「ドローンによる肥料の散布に興味はあるが、やはり価格が高い」。5月下旬、飯山市内の水田で田植えを進めていた小嶋秀典さん(66)は率直な思いを口にした。 小嶋さんは市職員を経て、40歳前後で実家の農地を継いで就農した。周囲で離農する人からも耕作を受託し、今年は計約4ヘクタールでコメを栽培する。受託面積が広がる中、先端技術の活用による省力化を考えるようになり、「スマート農業」関連機器の展示会に足を運んだこともある。
上田市内の実験用農場で5月下旬、収穫用のコンテナを載せた無限軌道式の車が作業者をゆっくりと追いかけた。自動車部品製造の城南製作所(上田市)が開発した自動追従運搬車「フォローン」だ。リンゴやブドウなどを収穫する際、人力で台車などを動かす負担を軽減できるとして、夏ごろから代理店や農協を通じて販売する予…
農家の高齢化と担い手不足が深刻な県内で、ドローンや自動運転など先端技術を取り入れた「スマート農業」が広がりつつある。農家にとっては作業の負担軽減や生産性向上を図れるメリットがあり、メーカーや新興企業は自社の技術を展開するチャンスをうかがう。ただ、農地の立地や費用がハードルとなり、導入をためらう農家もいる。スマート農業の現状と課題を探る。
土壌分析機器開発ベンチャーのHenryMonitor(ヘンリーモニター、諏訪市)と八ケ岳農業大学校(諏訪郡原村)、諏訪信用金庫(岡谷市)は2日、同校の農地で人工知能(AI)による土壌分析を行い、安定した栽培管理技術や農業経営につなげるよう研究する「土壌分析LABO(ラボ)」を共同で開設した。今後、…
こんなに高くて買ってくれるだろうか。でも仕入れ値を考えれば仕方ない。それでも、やっぱりこんなには―。 コメの卸や小売りを手がける伊那市の「入口蔦屋」の社長伊藤かおりさん(51)は昨秋、考えが堂々巡りして新米の販売価格を決めかね、何度も電卓をたたいた。食味が高く評価されている佐久市浅科地区のコメも…
〈揺れる実り─岐路の信州農業 第1部 ブランド米産地「浅科」㊥〉 3月23日、佐久市浅科支所の会議室。浅科地区を中心にコメを大規模栽培している農家らのグループ「信州あさしな99部会」のメンバーや県佐久農業農村支援センター、全農県本部の担当者ら計約20人が、今年のコメの生産に向けた作業を打ち合わせて…