〈しなの歴史再見〉瓦や建物跡 発掘調査で確認 仏教信仰の形が断片的に
■長野県立歴史館総合情報課主任文化財専門員 柴田 洋孝
仏教が日本に伝わった正確な年代は定かではないが、6世紀の中頃には朝鮮半島を経由して大陸からもたらされたといわれている。日本における仏教の導入は、現在の私たちの生活や信仰にまで大きな影響を及ぼす、重要なターニングポイントだったともいえる。
7世紀後半になると信濃にも仏教が伝わり、各地を治めていた郡司(旧豪族)層が寺院を建立していったと考えられる。当時の状況を示す史料として、「日本書紀」では天武14(685)年に、天武天皇が「諸国家毎(いえごと)に、仏舎を作りて、すなわち仏像および経を置きて礼拝供養せよ」と詔(みことのり)を出したとあり、「扶桑略記」では持統6(692)年の記録で「天下の諸寺を計(かぞ)えたところ…